ゲーテのファウストに、次の様な一文がある。“Ein echter deutscher Mann mag keinen Franzen leiden,
Doch ihre Weine trinkt er gern.(生粋のドイツ人なら、フランス人を好まない。でも、フランスのワインなら喜んで飲んでいるさ)”
長年の独仏の対立を象徴するかの様な言葉である。確かに、独仏は昔から仲が悪かった。フランスの歴代王朝の政策はあくまでも反ハプスブルクであり、30年戦争の時は、神聖ローマ帝国皇帝の強大化を恐れて参戦した。今年話題のJan
Wellemがデュッセルドルフに居を構えたのも、彼の本城であるハイデルベルク城が、ファルツ継承戦争の際にフランス軍によって破壊されたからである。ナポレオンは全ドイツを占領し、ビスマルクはフランス第二帝政に戦勝してドイツ統一を成し遂げた。第一次世界大戦では、戦勝国フランスが、過酷なベルサイユ条約をドイツにおしつけ、第二次世界大戦では、ハーケンクロイツの旗がパリにはためいた。まさに戦争の歴史である。しかし第二次世界大戦後、アーデナウアーとド・ゴールが長年の独仏対立に終止符を打ち、まれに見る両国のパートナーシップの礎を築いた。今日では、独仏枢軸が、欧州統合の牽引車となっている。実は今年は、1963年の独仏協力条約調印から丁度45年になる。かつて女帝マリア・テレジアの末娘マリー・アントワネットがフランスのブルボン王家に嫁いだ時、「外交革命」と言われたが、本当の外交革命は、私達が生きている現代に起きた。独仏両国が促進させる欧州統合、ベルリンとパリの丁度中間にあるこのラインラントで、その成果を見届けたい。
編集委員長 稲留康夫
日本人会報 Nr. 89
発行人 三宅 博(日本クラブ会長)
発行所 デュッセルドルフ日本クラブ
Japanischer Club Dusseldorf e.V.
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原 令子(日本クラブ事務局)
発行日 2008年8月15日
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