住まいの手入れ

日本人は衣食住と考えるが、ドイツ人は住衣食の順であるかのように、とにかく家を大切に考えている。持ち家とか借家の区別なく熱心に掃除をし、窓辺には花を飾り、窓拭きに精を出す。
このような住まいに対する心構えの違いと食生活の違いを理解したうえで、住まいの手入れを考えてみたい。また、出回っている多種多様の住まい用洗剤も、環境保全を考え、成分の強いものは使わないなどの心遣いが必要だろう。

1.台所
●電熱コンロ(-e Kochplatte
さびるので濡らしたまま放置しない。濡れた鍋を熱したコンロにのせない。空だきしない。時々専用クリームで手入れする。
Kochplatte用クリーム
Puzzi チューブ入り。コンロがさめてから使う。
Kochplatten-Putzlinge クリームが布に染み込ませてある。コンロを熱くして使う。
コンロは錆びてヒビが入ってはじけるようになったら危険。Kochplatteだけを取り替えることができるので、製造元の顧客サービス係(Kundendienst)に依頼する。
Kochplatteを取り替えたいのですが。
  Ich möchte Kochplatte wechseln.
Glaskeramik-Kochfelder
Kochfeld Schützer クリーム状の汚れ落とし。
Ersatzklingen 汚れをこそげ落とす刃物、替刃あり。
●油煙・臭気フィルター
Kochplatteの上部に取り付けられている。これは換気扇ではなく、油煙と臭気を吸い取る設備である。フィルター(-r Filter)はスーパーや電気店などで買えるので、定期的に交換する。赤線の入ったタイプは赤線の面を上にしてつける。赤線が下からにじんで見えるようになったら取り替える。赤線のないタイプは油汚れがひどくなってきたら取り替える。
●オーブン(-r Herd
暖かいうちに洗剤(-s Spülmittel)、クレンザー(-s Scheuermittel)でふくのがベスト。専用オーブンクリーナーもあるが、いざとなったときに使用するくらいに留めたい。
●排水管(-s Abflußrohr

食生活の違いから(米粒、野菜クズなどが多い)排水管を詰まらせることなど無いように日頃から注意したい。
排水口からゴミを流さないために
-s Abflußsiebという排水口にぴったりはまる網があるが、これだけでは不充分なので、ザルや網を併用するとよい。
油は絶対流しに捨てず、紙に吸わせてから(適当な容器に紙を敷いておくとよい)ゴミ箱に捨てる。また、時々、排水口から熱湯を流してやるとよい。お茶には紙製のフィルター(
-r Teefilter)を使ってそのまま捨てれば、葉が流れないですむ。
排水管の流れが悪いようなら
Hausmeisterに早めに連絡して処置してもらう。
−排水管が詰まりそうです。
  Das Abflußrohr wird bald zu.
詰まったら、吸盤(おわん様
-e Saugglocke)や針金(管に通す -s Rohrreinigungsspirale)を使ったり、パイプの屈曲部をはずしてきれいにする。それもだめだったら、Hausmeisterか、Rohrreinigungdienstに頼む。
−排水管が詰まりました。

  Das Abflußrohr ist zu.

●食器洗い機(-e Spülmaschiene

高温になるため、漆を塗ったものや金を使ったものは食器洗い機に入れないこと。最近は節約プログラムのついた機種があり、水と電気が節約できる。必要な洗剤は次の3つ。
a)洗剤(-r Reiniger
  前扉内側の洗剤入れに毎回入れる。
b)専用の塩(-s Spezial-Salz
  底面にある専用塩入れにいれる。
  新品の場合、水にある程度まで入れ、塩を2kg全部入れてよくかき混ぜ、水を満たす。塩は毎回
  入れる必要はなく、水がブルーでなくなったら足せばよい。

c)ガラス仕上げ剤(-r Klarspüler
  前扉内側の仕上げ剤入れにいっぱいに入れておけば、毎回少しずつ出る仕組みになっており、使
  う度に足す必要はない。ガラスに水滴やカルキのあとが残るようなら目盛を調節する。酢で代用
  もできる。

尚、このほかに内部とパッキング洗浄用洗剤(Somat Maschienen-PflegerCalgonit Maschienen-Pflegerなど)の他、Fett落としもある。
〈食器の入れ方〉
  まず、皿についている食べかすを取り除く。
 ☆下のかごへは
  汚れのひどいもの、大きな皿など
 ☆上のかごへは
  小物。カップ類は下向きに
 ☆スプーン、フォーク立てへは
  スプーン、フォーク、ナイフ、箸など
 食器を入れ終わった後、噴水ノズルを回してみて、皿や箸がひっかからないか点検する。
 機内底部の網に食べかすがたまっていたら網を取り外してカスを捨てる。

●冷蔵庫・冷蔵庫の霜取り
a)冷蔵庫
  庫内奥壁に溶けた霜が流れる溝と穴があるので詰まらせないように注意する。もしも水が冷蔵庫
  から漏れてくるようなら、まずこの溝と穴が詰まっていないか点検する。

b)冷凍庫
  自動霜取りがついていないので、年に12回は電源を切って霜取りを行なう。この場合、決し
  て尖ったナイフなどを使って氷をカキ落としてはいけない。プラスティックや木のヘラを使う。
●除菌
Domestos(過酸化水素が主成分)を説明通りに薄めて使う。塩素系漂白剤としてKlorixがあるが、酸(トイレ用洗剤など)と併用すると、有毒ガスが発生するので要注意。

2.トイレ

便器の内部上部を洗うのは、トイレ専用に口先が湾曲している容器の洗剤が使いやすい。
便器たまりの水のひどい結石はどんなに強い薬品でも取れないので、やたらに薬を使わない方がよい。こまめに掃除をするのが一番。
便座だけを交換するのはごく簡単で自分でできる。市販の便座はどれもネジの部分で調整できるようになっているが、穴の間のサイズを測っていくとよい。
WC Reiniger

3.浴室

ドイツの浴室は毎日入浴するようにはできていない。換気窓の全くない浴室もあり、このためカビがはえやすい。カビを防ぐには入浴後すぐに、タイル、バスタブまわりを拭いてしまうのが一番よい。こうすればカルキの付着も防げる。カビが生えてしまったら、Domestosの原液やカビ取りスプレー
-r Antischimmelspray)を使う。
水は貴重な資源として節水が呼び掛けられているので、シャワーも活用して大切に使うよう心掛けたい。

4.洗面所

水まわり、蛇口まわりは、カルキですぐに白くなるが、使用のたびにこまめに拭いておけば、薬品を使わなくてもきれいに保てる。カルキがこびりついたら、酢に23時間つけておくとよい。蛇口のストレーナー、シャワーのノズルもはずして同様にする。
☆カルキ取り用洗剤 AntikalkKalkreiniger液状)

5.窓

ドイツ人は窓に関しては潔癖で神経質である。少なくとも月に1度は磨くようにしたい。湯に食器洗い洗剤を少量たらして使う。また、酢を少量加えると水滴が残りにくい。ゴム製のワイパーを使うと便利。最後に空拭きをする。
大きな窓とか、外側に面した窓は素人には無理なので、Hausmeisterに聞いて出入りの職人を頼むとよい。電話帳のGlas- u. Gebäudereinigung欄で調べることもできる。

6.カーペット

通常の手入れはTeppichreinigerを使うとよい。また、専門の業者に出張清掃を頼むこともできる。電話帳のTeppichbodenreinigungの欄で調べる。

7.換気

ドイツの家屋は暖かいが、それだけに通気が悪い。厳寒の冬でも1日に10分間は窓を開けて換気につとめる。これを怠ると室内にカビが生える。